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第4.4回目(増補版)
リーマンブラザーズが倒産し*、世界の株式が大暴落後、乱高下しています。心配ですよね。こんにちは、なにわのこにたんです。米国では、金融資産に動産、不動産の区別は無く、住宅も金融資産の一つという位置づけです。『住宅はATM』とも言われています。住宅価格が上がり、担保価値も上がると、借入との差額に対して新たな融資や、キャッシュを引き出すことができるようです。今回は、世界の経済についての本の紹介を行います。
*社員が大きな箱を持ち出しているのがテレビで映っていましたが、不正行為で告訴されるような書類は、個人で持ち帰り処分するという見方もあるそうです。ICTの発達した米国で、個人所有のものが、あの箱一杯になるとは考えにくいと思います。みんな、PCかメモリースティックに入れて持ち出すような気がしますよね。昔、大蔵省が財務省になる頃、官公庁の方が引越しのために、大量のダンボール箱を持ち出していたテレビの一コマを思い出します。これから大掛かりな民事・刑事裁判が行われる前の対策でしょうか?
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ハリー・S・デント/ダイアモンド社
『バブル再来』
ISBN-10: 447860049X
ISBN-13: 978-4478600498
エドワード・チャンセラー/日経BP社
『バブルの歴史』
ISBN-10:4822241815
ISBN-13:978-4822241810
大前研一/ビジネス・ブレークスルー出版
『マネーハザード金言集』
ISBN-13: 978-4930774057
ASIN: 4930774055
田中宇
『国際ニュース』
田中 宇
-リーマンの破綻、米金融の崩壊
-銀行破綻から米国債破綻へ?
-全ての不良債権を背負って倒れゆく米政府
リチャードビトナー/ダイヤモンド社
『サブプライムを売った男の告白』
ISBN:9784478005897
さて、経済の質問です。
現在、全世界のGDPはいくらでしょうか?
ざっくりと6000兆円と言われています。(いずれ、1京円となります。普段使い慣れない単位ですが、1兆円の1万倍です。)2008年の推定では、米国が1500兆円。日本が500兆円。EUがなんと1800兆円だそうです。中国が現在400兆円で、2010-12年ころには日本を抜くと予想されています。米、欧、亜と3局の経済圏となりつつあることがわかります。
ところで、自由経済社会において景気を左右するのは、何だと思いますか?
GDPの増加率と考えれば、国内消費、等々です。いろいろな説があります。
GDPの定義は、分配と支出の2点からすると、以下のようになります。
・国内総生産=雇用者報酬+(営業余剰・混合所得)+固定資本減耗+(生産・輸入品に課される税-補助金)
・国内総支出(国内総生産)=民間消費+民間投資+政府支出+(財貨・サービスの輸出-輸入)
(1)雇用率のアップ
(2)給料のアップ
(3)消費の増加
しかし、(1)から(3)は、すべて現象であり、真の原因ではありません。
20年前、ハリー・デント氏の理論は相手にされませんでした。しかし、景気の先読みと呼ばれる株価は、見事に理論と現実が一致しました。彼は、米国のブラックマンデーは最初の谷であり、2010年のピークに向かい米国の景気は増加の一途をたどる事を予測しています。世間の冷たい目を尻目に、2001年のITバブルをへて現在に至っています。
ところで、彼の理論によれば、景気を左右するのか以下の三要素です。
(1)人口(人口統計学)
(2)技術(自動車産業、ITといった基幹となる技術)
(3)気候
(1)人口(人口統計学)
人生で最大に消費する世代は46-7歳である。(日本では40-47歳とづれているそうですが)米国では、第一次ベビーブーム世代が47歳になったのは、1980年代後半になります。第二次ベビーブーム世代が47歳でピークを迎えるのが2010前後までと言われています。それ以降、突出したベビーブーム世代はありません。よって米国で最大の好景気になるのは、われわれの世代では見られないことになります。米国は、日本と同じ、長い10年の不景気(デフレ)に突入すると予測されています。(あたらないように、願っていますが・・・。)一方、日本の第二次ベビーブーマーの最大消費期を迎えるのが、2010-2020年とのことです。好景気を期待しています。少子化が問題視されていますが、人口減少は日本の歴史上5回ほど繰り返されているようです。今年は、結婚率も出生率も上がる予想が出ています。
(2)技術(自動車産業、ITといった基幹となる技術)
1910年代のパターンと20世紀-21世紀で同じパターンが繰り返されています。T型フォードから始まる自動車産業のパターンとIT産業の成長カーブ(S字カーブ)は酷似しています。S字カーブは、技術の盛衰のパターンと景気のパターンにも影響を与えています。ITのたちあがりは1980年で30数年のサイクルで終焉を迎えるとのことです。2008年に今のITはS字カーブの飽和時期にくるそうです。携帯を中心とした新たなICT産業の萌芽が目に付くようになっていますが、すでにアメリカでは携帯浸透率が90%であり、技術の衰退が予想されます。全体の景気のパターンは70-80年毎に繰り返すそうですので、人の一生の期間と考えればうなずけます。歴史、特に経済史を勉強していないと、自分の前で起きている現実が理解できないものです。バブルの歴史という本がありますが、チューリップバブル、南海泡沫、等々人類はバブルが大好きです。10年すると人は前のバブルを忘れるので、10-20年周期で大小さまざまなバブルが発生しては壊れていきます。
(3)気候
太陽の黒点サイクル(11年)、現在では、温暖化は大きな要因ですが、この本には、詳細な説明はありません。
ところで、格差のことが深刻な話題となっております。ローレンツ曲線、ジニー係数という代用値が有名です。ジニー係数が高いのが、先進国では、アメリカ、イギリス、日本です。共通しているのは、大胆な構造改革を行った国であることです。イギリス、日本、(韓国も)も規制緩和、グローバルスタンダードへの移行に伴い、銀行、不良債権が一掃され、多くの会社が外資系の会社にかわりました。(いわゆるはげたかファンドです。)日本の構造改革は、韓国型を目指しました。その構造改革を行った前々韓国大統領(金大中氏)は、『韓国は構造改革には成功したが、ほとんど海外勢に買われてしまった』と言っています。日本でも、同様なことが銀行で起こりました。経済の建て直しに、外資の資金力が必要悪となっていますが、政府の発表とは裏腹に、一般の生活ではデフレ傾向はまだ続いています。石油高で、不景気のデフレから不景気のインフレという最悪の状況に移行するかもしれません。(スタグフレーション)
現在、投資資金は約6000兆円といわれています。日本の金融資産が1400兆円ですから、世界の投資に回る資金は創造を絶するものです。ヘッジファンドだけではなく、オイルファンド(原油高で得られた余裕資金)、国家ファンド(中国・シンガポール等)が世界の投資先を探しています。日本の株式市場は平均一日3-4兆円。世界の為替は約300兆円動いているといわれています。(為替は貿易での決済のように実需をベースとしていますが)ちなみに、日本の国家予算は表向き80兆円です。でも裏側を考慮するとなんと200兆円もあるそうです。
現在、米国の主張する『市場原理主義』(市場で起きることに政府は介入しない)が上記の資金力の力配分を見ても、もはや機能しにくくなっています。経済の見えざる手が働かなくなってきています。ノーベル賞をもらった金融工学のブラック・ショールズをご存知ですか。現物の資金がなくても、巨額の取引を先物、オプションなどのデリバティブのシステムで可能にした人達で、自らLTCMに参画しましたがエンロンと同様に反映から没落の道をたどりました。ご存知のSOX法成立の起爆薬となりました。
この16年、クリントン大統領が米国の経済活性化、反映をもたらしましが(経常黒字化)、しかし、ご存知のように、ブッシュ大統領はすべてを取り崩し、平行してニクソン大統領の掲げた世界権力の分散化(局地化)を進めつつあります。
相場(株式等)はゼロサムゲームです。(実際には、手数料が必要ですので、マイナスサムです。)常に勝者が敗者のお金を取るといく争奪合戦です。勝者にとってお客様は敗者です。もっとも常に勝つのは、手数料を得る株式取引の会社ですが。(ネット取引で最近はビジネスがむずかしそうですが)金融工学により、市場規模の拡大で、儲けと同時に損失も増大しています。現物と信用取引というモデルに金融工学による売買が可能になってから、世界で動く投資額は、実態はないが、巨大になったわけです。
相場というのは、絶対的でない場、すなわち相対的な場から相場となったそうです。すなわち、絶対的な価値は無いものに後講釈がつくわけです。相場とは、『巨大な人の塊』です。よくセンチメントといいますよね。実際の景気だけでなく、心理的にも動くので、振れが大きくなるわけです。中国の上海市場や香港市場の動きが激しいことをみれば明らかです。
株や債券の配当は、少なくとも国、公社、会社の利益から得られるモノですので、特に配当性向をみればごく普通の銀行預金の延長線上にあります。
年金運用(401K)は、政府や会社が受益者に投資の責任を強いるものです。株式と債券を熟知することが、世界的にみて主流で、どちらがより収益を確保できるかを見極める能力が要求されます。欧米の一般の人でも普段から勉強しています。日本人はお金の話題はタブーに近いので、学ぶ、教える習慣が普及しませんでした。泳げない人をいきなり海で泳げといっているような気がします。相場でコンスタントに勝てる人は統計的にみて5%もいないということですので、常勝は難しく、儲けていたとしても、時間的なずれによる暴落による調整が必ず来ます。世界中の会社の年金運用者が戦って、勝者がいれば敗者もいます。不思議な仕組みですよね。
追加)
今回のサブプライムローン、原油の高騰と暴落、リーマンの破産等がある大きな流れの一つ一つであると考えると、今、オプションやデリバティブのような巨大なマネーレバレッジ(てこの原理です)の崩壊が始まったのかも知れません。これと同時に、ハリーデントの予測にあるように、2010年(少し早まるかもしれませんが)から暗黒の10年が米国で始まる予兆かもしれません。世界のハゲタカが、米国に向かいます。日本で起きたように。その時、日本を世界が見ていたように、今は、日本が米国を冷静に眺めるときが来たようです。
『金融911以降、乱高下を繰り返す株式市場ですが、米国の金融救済は最大1兆ドルに膨れ上がる可能性があります』が、それほど深刻なようです。『救済策として、当初構想の5000億ドルから、20日に議会に提示されたときには7000億ドルに増えた』そうです。これは、『米では毎年の軍事費が5000億ドルですが、軍事費以上の国家予算』となります。いかに巨額であるかが創造されます。異常ともおもわれた他国への戦争という巨大な公共投資が、今、国内の終戦処理(累積した赤字)に取り掛かろうとしているように見受けられます。下院で一度拒絶されましたが、法案修正後可決されました。それにもかかわらず、ダウは157ドル下がりました。まだ、市場は失業率の増加等疑念があるようです。ハリーデントの予測のように闇の10年にこのまま突入するのでしょうか?90年前の大恐慌をもとに検討された対策は、ジャブジャブと通貨を印刷しまくり、市中にマネーを供給していくのが結論だったのですが・・・。
米国の株式が急激に上がった本当の理由は、『新政策への好感よりも、先週9月19日から米当局(SEC)が開始した、800銘柄の金融株の先物売り禁止策によって、金融株の下落が抑止されている影響の方が大きい。この抑止策は2週間の時限政策で、もしかすると4週間に延長されるかもしれないが、いずれの場合でも、抑止策が切れた直後、株価が暴落する恐れがある』ようです。10月以降は、危険かもしれません。(9月30日にすでに大暴落してしましました)救済策は、米国債の発行依存性が大きいですが、現実的に誰が買うのでしょうか?米国債の最大保持国である中国も手を引きそうです。GDPに対するドル(印刷で作られた紙幣・米国債)は、他国に比較して、50%から100%位供給が多いのが現実です。ドルの急落も視野に入れたほうがよさそうです。1ドル79円という時期もありましたが、ひょっとしたら、1ドル50円位も頭の片隅に入れておいたほうが良いかもしれません。(あくまでも、こにたんの私見です。あたらぬも八卦・・・。)ご用心を!!!
今、世界がかつて無かったパラダイムシフトの時期に来ているようです。共産・社会主義→資本・自由主義→次の新しい政治・経済システムへの到来なのかもしれません。最近特に目につく官公庁の不正、企業の偽装等、次の素敵な時代への膿出しでしょうか?日本財界でのもっぱらの噂です。
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役に立ちましたか?経済の話しは硬くて面白くありませんが、ご紹介した著者・著作は、シンプルに現在起こっている経済状況をわかりやすく説明しています。過去の予測が現実に起きて合致している評論家や予測者は、まず世界でもほんの数人です。念のため、今回の情報により個人の投資判断により損失を被っても、こにたんは一切補填いたしませんのであしからず。
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